
事業会社からコンサルへ転職するとき、職務経歴書の1ページ目に「予算策定」「法人営業」「システム導入」と並べても、採用側は応募求人との接点を判断できません。社内で使われる業務名だけでは、候補者が比較した選択肢、決めた内容、動かした指標が見えないからです。
直す範囲は、まず職務要約の250〜350字に絞ります。経営企画なら、作成した中計資料ではなく、複数事業のKPIと投資配分をどう変えたか。営業/マーケティングなら、訪問件数ではなく、顧客群別の失注理由と施策別の受注率。IT/データ企画なら、製品名ではなく、業務要件、移行制約、効果指標をどこまで定義したかを先頭へ置きます。
書き換えの終点は、文章を整えることではありません。実在する公式採用入口から応募1求人・見送り1求人を決めるところまで進めます。
職務要約は、次の6要素で作れます。
最後の一文に「戦略コンサルを志望」とだけ書くと、求人は決まりません。「BCG中途採用の経営コンサルタント」「KPMG FAS Integration & Separation:CBMA」のように、公式ページ上の職種・部門まで固定します。
代表案件は、職務要約を裏づける一段落だけで十分です。本稿では期間、規模、自分の判断、結果を入れますが、案件の書き方自体は主題にしません。案件を背景・制約・責任範囲・判断などへ細かく分ける方法は、既存のコンサル転職の職務経歴書|プロジェクト実績を「課題・判断・成果」に書き換えるで扱っています。
ここで確認するのは、各社が2026年8月28日時点で公開している対象者、業務内容、経験年数、英語要件です。公開ページに書かれていない要件は推測しません。また、BCGやKPMG FASの条件を他のコンサルティングファームへ広げません。
BCGの中途採用ページは、4年制大学以上を卒業後、企業・官公庁などで実務経験のある人や専門職の実務経験者を対象にし、コンサルティング経験や資格は不問と明記しています。募集職種は「経営コンサルタント」と「経営コンサルタント(Technology and Digital Advantage領域)」です。
Technology and Digital Advantage領域には、事業会社、コンサルティングファーム、スタートアップなどで、デジタル領域の戦略策定、新規事業企画、デジタルトランスフォーメーションの企画・推進経験を持つ人との記載があります。同ページでは、一般の経営コンサルタントについて最低経験年数やTOEIC点数を示していません。記載がないことを「英語不要」「経験年数不問」と読み替えず、応募画面の条件も確認します。
KPMG FASの公開求人は、業務を「経営・事業戦略」「M&AのPreディール/Inディール支援」「Value Creation戦略の構想・実行支援」に分けています。求める人物像には、A・B・Cいずれかの業務経験に加え、掲載されたコンサルティング会社またはアドバイザリー会社で3年程度以上、TOEIC800点以上相当、PowerPoint・Excelを不自由なく使えるスキルなどが示されています。
この記載から、事業会社の経営企画、営業企画、IT企画を経験しただけで応募条件を満たすとは判断できません。業務テーマが近くても、求人が指定する経歴と英語要件を別に照合します。
CBMAは、買収後・売却前の対象会社に対する売上面のValue Creationを掲げ、マーケティング、営業、プライシング、ブランディングの戦略立案から実行までを扱います。経験例には、顧客理解やデータ分析からの課題抽出、事業会社でのセールス、マーケティング、営業企画、ブランド管理、新規事業推進などが含まれます。
同じ公開欄には、4年制大学卒以上、ネイティブレベルの日本語、TOEIC800点以上相当、PowerPoint・Excelのスキルなどがあります。一方、列挙された1〜4の経験について一律の最低年数は記載されていません。年数が書かれていないことと、経験の深さを確認されないことは同義ではありません。
IT戦略・M&Aは、ITの観点からPMIとセパレーションを支援する求人です。公開条件は、M&A ITサービス、IT戦略、基幹システム刷新、IT基盤統合、DX、ITプロジェクトマネジメントなどのいずれかで2〜3年以上の実務経験を挙げています。事業会社の経験では、M&Aや事業分離・統合に伴うIT基盤の分離・統合、グローバルIT基盤・組織再編などが例示されています。
同欄は、設計・開発・運用のみの経験や、RPA・マーケティング関連システム中心の経験と、基幹業務のIT戦略・企画・構想、IT統合・分離経験を区別しています。この職種の公開欄にはTOEIC点数の指定が見当たらないため、本稿でも英語の合否基準を補いません。
アクセンチュアの経験者採用FAQは、経験者採用を社会人経験4年以上とし、4カ月以上4年未満は第二新卒と案内しています。第二新卒ページは4カ月以上5年未満としており、上限表記が一致していません。社会人経験4年以上5年未満の人は、応募時のマイページや募集要項で区分を確認します。本稿の3人は、求人の業務内容まで照合できるBCGとKPMG FASに応募先を固定します。
公式ページは応募条件を示しますが、職務要約の定型文を指定してはいません。以下はSymmetryLab編集部の変換方法です。
| 現職 | 削る表現 | 250〜350字で残す作業 | 固定する求人 |
|---|---|---|---|
| 経営企画 | 中計資料を作成、役員会を運営 | 事業別KPIの定義、投資案の比較、自分が設計した選択肢、採択後の指標 | BCG中途採用の経営コンサルタント |
| 営業/マーケ | 顧客訪問、提案資料、展示会 | 顧客群の分け方、失注理由、価格・提案・チャネル施策、受注率の変化 | KPMG FAS I&S:CBMA |
| IT/データ企画 | CRM導入、ベンダー調整、データ分析 | 業務要件、移行制約、段階移行の判断、品質KPI、M&A後の統合範囲 | KPMG FAS I&S:IT戦略・M&A |
資格や経験年数を文章の工夫で埋めることはできません。職務要約で業務の接点を示し、表で公開条件を満たすか確認し、一つでも必須条件が不足する求人は見送ります。
候補者は31歳、4年制大学卒で日本語を母語とし、食品メーカーの経営企画を6年、TOEIC760点という設定です。PowerPointとExcelを業務で使用しています。以下の会社、期間、人数、金額、比率はすべて架空例であり、市場相場や合格実績を示しません。
食品メーカーの経営企画部で6年間、予算策定、予実管理、中期経営計画、役員会資料の作成を担当してきました。各事業部から計画を集めて月次資料にまとめ、会議運営や新規事業の検討にも関わっています。ExcelとPowerPointを使った分析・資料作成、部門間調整を得意としています。
業務名は分かりますが、計画を集めた人なのか、投資判断の選択肢を作った人なのかが判別できません。応募先も「戦略系」のままです。
食品メーカーの経営企画として6年間、国内4事業の予算管理、中期経営計画、投資配分の見直しを担当してきました。直近の中計改定では、事業ごとに異なる売上成長率、営業利益率、投下資本回収期間の定義を統一し、継続・追加投資・縮小の3案を比較しました。私は財務部と4事業部の前提調整、感度分析、役員会に出す選択肢の設計を担い、成長事業へ12億円を再配分する案の採択と、採択後の月次KPI導入につなげました。複数事業の比較、経営判断用の選択肢設計、実行後のモニタリングを生かし、BCG中途採用の経営コンサルタントへ応募します。
会社名、年数、課題、本人の判断、結果、応募職種が一段落でつながりました。「PowerPointが得意」という自己評価は外し、役員会用の比較案を作った事実に置き換えています。
| 判断 | 実在求人 | 業務との対応 | 経験年数との対応 | 英語との対応 |
|---|---|---|---|---|
| 応募 | BCG中途採用「経営コンサルタント」 | 4年制大学卒で、企業での実務経験者が対象。複数事業の比較と投資選択肢の設計を職務要約で示す | 公式ページに最低年数の記載なし。経営企画6年を記載 | TOEIC基準の記載なし。760点を事実として別欄へ記載 |
| 見送り | KPMG FAS「Strategy & Value Creation」 | 経営・事業戦略のテーマは近いが、指定された経歴を満たさない | コンサル/アドバイザリー会社で3年程度以上の経験がない | TOEIC800点相当に対し760点 |
BCGの経営コンサルタントへ応募します。企業実務経験が対象で、コンサル経験・資格が不問と公式に書かれているためです。KPMG FAS Strategy & Value Creationは、業務テーマだけなら近いものの、公開された経歴区分と英語要件の双方を満たさないため見送ります。
①職務要約は上記Afterの一段落です。②代表案件は「国内4事業の中計改定で、売上成長率、営業利益率、投下資本回収期間の定義を統一した。継続・追加投資・縮小の3案を比較し、財務部と4事業部の前提調整、感度分析、役員会に出す選択肢の設計を担った結果、成長事業へ12億円を再配分する案が採択され、採択後の月次KPI導入につながった」とします。③判断1行は「BCG経営コンサルタントへ応募/KPMG FAS Strategy & Value Creationは指定経歴とTOEIC800点相当を満たさず見送り」です。
候補者は29歳、4年制大学卒で日本語を母語とし、BtoB機器メーカーで法人営業3年、営業企画・マーケティング2年、TOEIC835点という設定です。PowerPointとExcelを業務で使用しています。商談件数、受注率、人数は架空例であり、市場相場や合格実績には使いません。
BtoB機器メーカーで5年間、法人営業と営業企画を経験しました。既存顧客への訪問、新規開拓、提案資料の作成を行い、営業企画へ異動後はCRM運用、展示会、キャンペーン、代理店施策を担当しています。顧客との関係構築力と部門間調整力を生かして売上拡大に取り組みました。
活動量は見えますが、誰を狙い、失注の何を変え、どの施策が結果へつながったかを読めません。
BtoB機器メーカーで5年間、法人営業と営業企画に従事し、製造業顧客の新規受注改善を担当してきました。営業企画では過去400件の商談を顧客規模・業種・導入目的で分け、失注理由を価格、提案内容、販売代理店の対応速度に分類しました。私は重点顧客の定義、価格承認ルール、業種別提案書、代理店の48時間返答ルールを設計し、対象商談の受注率を21%から29%へ8ポイント改善、平均値引き率を2ポイント下げました。顧客分析、営業・価格施策、チャネルへの運用導入を生かし、KPMG FAS Integration & SeparationのCBMAへ応募します。
「訪問」と「展示会」を削り、顧客群、失注理由、施策、変化した指標へ入れ替えました。最後にCBMAを明記したため、採用側は営業・マーケティング・プライシングとの接点を確認できます。
| 判断 | 実在求人 | 業務との対応 | 経験年数との対応 | 英語との対応 |
|---|---|---|---|---|
| 応募 | KPMG FAS「Integration & Separation:CBMA」 | 事業会社のセールス、マーケティング、営業企画経験が例示され、価格・提案・チャネル改善と接続 | 経験欄に一律の最低年数記載なし。営業・営業企画5年を記載 | TOEIC800点相当に対し835点 |
| 見送り | BCG「経営コンサルタント(Technology and Digital Advantage領域)」 | デジタル戦略、新規事業、DX企画・推進が対象。CRMを分析に使ったが、デジタル戦略やDXを企画した経験はない | 公式ページに最低年数の記載なし | TOEIC基準の記載なし |
KPMG FAS CBMAへ応募します。公式ページが事業会社のセールス・マーケティング・営業企画を経験例に含め、英語要件も満たすためです。BCGのTechnology and Digital Advantage領域は、CRM利用だけでデジタル戦略やDX推進の経験があるとは書けないため見送ります。
①職務要約は上記Afterの一段落です。②代表案件は「過去400件の商談を顧客規模・業種・導入目的で分け、失注理由を価格、提案内容、販売代理店の対応速度に分類した。私が重点顧客の定義、価格承認ルール、業種別提案書、代理店の48時間返答ルールを設計した結果、対象商談の受注率が21%から29%へ8ポイント改善し、平均値引き率が2ポイント下がった」とします。③判断1行は「KPMG FAS CBMAへ応募/BCG Technology and Digital Advantage領域はデジタル戦略・DX企画経験がなく見送り」です。
候補者は32歳、4年制大学卒で日本語を母語とし、小売企業のIT・データ企画を6年、そのうち買収先2社のIT・データ統合を3年、TOEIC745点という設定です。PowerPointとExcelを業務で使用しています。予算、データ件数、処理時間は架空例であり、市場相場や合格実績を示しません。
小売企業の情報システム部門で6年間、システム企画、ベンダー管理、データ分析を担当しました。基幹システムやCRMの導入に参加し、ユーザー部門へのヒアリング、要件定義、テスト、移行、研修を経験しています。SQL、BIツール、Excelを使用でき、複数部門との調整経験があります。
工程とツールは分かりますが、M&A後の統合という背景、移行方法を選んだ理由、本人が定義した判定基準が抜けています。
小売企業のIT・データ企画で6年間、基幹システム刷新と買収先2社の顧客データ統合を担当してきました。直近3年は、店舗・EC・会員アプリで異なる顧客IDと販促同意の定義を統一するため、6部門の業務要件、120万件の移行対象データ、稼働後の重複率・処理時間・利用率を定義しました。私は一括移行と段階移行を比較し、法務確認が必要なデータを分離して、店舗・EC・会員アプリの3段階移行を提案。承認後はベンダー4社の実行管理を担い、店舗停止なしで移行しました。M&A後のIT統合、移行計画、データ品質KPIの経験を生かし、KPMG FAS Integration & SeparationのIT戦略・M&Aへ応募します。
ツール名の列挙を減らし、買収後統合、移行制約、選択肢、品質KPIを残しました。応募先をIT戦略・M&Aに固定したため、一般的なシステム導入経験との違いも示せます。
| 判断 | 実在求人 | 業務との対応 | 経験年数との対応 | 英語との対応 |
|---|---|---|---|---|
| 応募 | KPMG FAS「Integration & Separation:IT戦略・M&A」 | 事業会社のM&A・事業統合に伴うIT基盤・データ統合と接続 | 公開条件2〜3年以上に対し、買収後IT・データ統合3年 | 同職種欄にTOEIC点数の記載なし。745点は事実として記載 |
| 見送り | KPMG FAS「Strategy & Value Creation」 | M&Aテーマは近いが、指定された戦略・アドバイザリー経歴を満たさない | コンサル/アドバイザリー会社で3年程度以上の経験がない | TOEIC800点相当に対し745点 |
KPMG FAS IT戦略・M&Aへ応募します。事業会社での買収後IT・データ統合が公式の経験例と重なり、2〜3年以上の年数も満たすためです。Strategy & Value Creationは、IT統合を戦略経験と言い換えても、指定経歴と英語要件を満たさないので見送ります。
①職務要約は上記Afterの一段落です。②代表案件は「買収先2社の顧客データ統合で、6部門の業務要件と120万件の移行対象データを整理し、稼働後に重複率・処理時間・利用率を測る設計にした。一括移行と段階移行を比較し、法務確認が必要なデータを分離した3段階移行を提案。承認後はベンダー4社の実行管理を担い、店舗停止なしで移行した」とします。③判断1行は「KPMG FAS IT戦略・M&Aへ応募/KPMG FAS Strategy & Value Creationは指定経歴とTOEIC800点相当を満たさず見送り」です。
業務内容、経験年数、英語要件を3行へ写します。会社名ではなく、部門・職種名まで固定します。
業界・職種・年数、課題、比較、自分の判断、結果、応募求人の6要素を入れます。250字未満なら対象範囲か判断を補い、350字を超えたら担当業務の列挙と形容詞を削ります。
職務要約と同じ案件から、期間、規模、自分の判断、結果だけを抜きます。職務要約にない大きな数字や役割を後から足しません。
応募1求人・見送り1求人について、「応募:求人名/業務・年数・英語が一致」「見送り:求人名/不足条件」と書きます。経験年数や英語が足りない求人を、文章表現で補ったことにはしません。
3人の完成物は、いずれも①250〜350字の職務要約、②応募1求人へ接続した代表案件一段落、③応募1求人・見送り1求人の判断一行です。この3点が揃えば、職務経歴書の1ページ目から次に開く応募画面までつながります。
応募職位を決める前に年齢・経験年数の区分を確認したい場合は、コンサル転職の年齢と経験年数から応募職位を決める方法を参照してください。Big4内で求人名と自分の成果物を比較する場合は、Big4戦略部門の応募先を成果物から採点する記事へ進めます。応募先を決めた後は、コンサル転職の志望動機を90秒で答える方法で「なぜこの求人か」を面接回答へつなげられます。
確認日:2026-08-28
確認日:2026-08-28
確認日:2026-08-28
確認日:2026-08-28
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