
# コンサル転職のオファー年収をどう交渉するか|現年収・職位・賞与を分けて希望額と依頼文を作る
コンサル転職でオファーを受けたあと、「提示された年収は高いのか」「希望額を言って内定を取り消されないか」「基本給と賞与のどちらを交渉すべきか」と迷う人は多い。ここで現年収に10%や20%を足すだけでは、判断を誤る。現職の年収が残業代込みなのか、賞与が直近実績なのか、転職先の賞与が初年度に満額出るのか、そもそも提示職位にどの責任範囲が含まれるのかが違うからだ。
交渉の出発点は「いくら欲しいか」ではない。まず、現職の総報酬と転職先の提示条件を同じ単位にそろえる。次に、提示された職位が自分の経験と求人の責任範囲に合っているかを確認する。そのうえで、受諾ライン、目標、依頼額を分け、相手が検討しやすい依頼文にする。
10分後には、現職の基本給・賞与・残業代・株式や一時金を分解した表が手元に残る。次に、転職先の提示条件を「継続報酬」と「初年度だけの報酬」に分け、差額と増減率を計算できる。最後に、職位を含む交渉理由と、エージェントまたは採用担当へ送る日本語の依頼文を完成させる。
なお、以下に登場する候補者名、会社名、金額、成果は架空例である。実在の市場相場、SymmetryLabの支援実績、特定企業のオファー実態を示すものではない。
交渉で混同しやすいのが、受諾ラインと目標、相手へ伝える依頼額である。3つは同じ金額にしない。
| 数字 | 意味 | 自分の中での使い方 |
|---|---|---|
| 受諾ライン | これを下回るなら入社しない総報酬または条件 | 原則として相手に最初から伝えない。自分とエージェントで共有する |
| 目標 | 条件が整えば納得して入社できる水準 | 交渉の着地点。固定給・賞与・職位の組み合わせで考える |
| 依頼額 | 相手に検討してもらう金額・条件 | 目標と受諾ラインの間に余地を残し、根拠と一緒に伝える |
たとえば、継続報酬の受諾ラインが660万円、目標が700万円、依頼額が730万円なら、依頼額730万円をただ要求するのではなく、「今回の職位で担う範囲と現職での報酬構成を踏まえ、継続的な年収730万円を希望する。基本給で難しい場合は、初年度一時金や賞与ターゲットを含む代替案も相談したい」と伝える。
一時金だけを足して初年度の見かけを上げると、2年目に下がることがある。反対に、基本給だけを上げると賞与ターゲットや職位との整合性が崩れる場合もある。3つの数字は、必ず「継続報酬」と「初年度報酬」の両方で持つ。
交渉前に、直近の源泉徴収票だけを見てはいけない。源泉徴収票には年中の支払額は出るが、翌年度の賞与見込み、未確定の株式報酬、残業の有無、入社一時金の返還条件までは比較できない。次の項目を過去12か月または直近2〜3年の実績で整理する。
```text現職の年間総報酬= 基本給(年間)+ 賞与・インセンティブ(実績または複数年平均)+ 残業代(実績)+ 株式・RSU・持株奨励などの年間認識額+ 現金手当のうち、転職で失われるもの```
交通費のように勤務先が変わっても発生する費用は、報酬の比較から外すことが多い。住宅手当、確定拠出年金の会社拠出、資格手当などは、転職で失われるなら「差額要因」として別欄に残す。福利厚生を無理に金額換算して総報酬へ足すと、企業ごとの制度差で比較が歪むため、金額が明確なものだけを入れる。
賞与は「昨年の実績」と「通常のターゲット」を区別する。業績連動で大きく振れる場合、直近1年だけで現年収を作ると、たまたま高い年または低い年を基準にしてしまう。交渉では、次のように書き分ける。
```text賞与:直近実績80万円、直近3年平均65万円、通常ターゲット60万円```
提示条件も同じ粒度にそろえる。転職先の「想定年収800万円」が、基本給800万円なのか、基本給+ターゲット賞与なのか、固定残業代込みなのかは企業によって異なる。採用担当やエージェントへ、次の項目を確認する。
日本の転職市場を考える一般データとして、Robert Walters Japan Salary Survey 2026は参考になる。調査は、Robert Waltersが各地域・採用分野で2025年に行った正社員・契約社員の成約分析と翌年予測に基づき、日本では12か月間に掲載された求人を分析して給与レンジの上下限、平均給与、時給を算出している。掲載数値は、別途明記がない限り、賞与・福利厚生を除く基本給・レートである。
同SurveyのTech & Transformationでは、2026年に転職する人の給与上昇が10〜20%、一部の重要職種では30%までの可能性があると記載されている。また、コンサルティングでは、クラウド、データ分析、AI、ERP実装などの技術専門家や、デジタルトランスフォーメーションをリードできるシニア人材への需要を示し、転職時の給与上昇は概ね10〜20%としている。
この数字は「コンサル転職なら現年収の20%を要求してよい」という個人向け保証ではない。調査の母集団は、Robert Waltersが扱った日本の求人・成約と、その採用分野であり、すべての転職者、すべてのコンサルティングファーム、すべての職位を網羅する統計ではない。さらに、Surveyの数字は基本給中心で、賞与や福利厚生を除外する。事業会社600万円の総報酬と、コンサルの基本給700万円を単純に比べる根拠にはならない。
使い方は、依頼額の上限を決めることではなく、交渉レンジに違和感がないかを点検することだ。たとえば現職総報酬800万円で、転職先の継続報酬が880万円なら10%、960万円なら20%である。ただし、現職に賞与90万円と残業代50万円が含まれ、転職先は賞与ターゲット込み・残業代別なら、同じ800万円と960万円でもリスクが違う。職位と報酬構成を確認してから、10〜20%を参考線として使う。
type転職エージェント High Careerの公開PDF「中途採用支援実績 コンサルティングファーム・SIer②」には、次の個別例が掲載されている。
| 年齢 | 前職 | 転職後の職種・オファー年収 |
|---|---|---|
| 32歳 | 大手メーカー系SIer | 戦略/経営コンサルタント・800万円 |
| 32歳 | 大手重電メーカー | ITコンサルタント・850万円 |
| 37歳 | 大手総合コンサルティング | DXコンサルタント(マネージャー)・1,400万円 |
| 47歳 | 大手総合コンサルティング | DXコンサルタント(シニアマネージャー)・1,700万円 |
| 49歳 | 大手メーカー系SIer | DXコンサルタント(マネージャー)・1,200万円 |
これらは、前職年収、基本給、賞与、残業代、株式報酬が開示されていない公開事例である。したがって、「32歳SIerから800万円なら何%アップ」「49歳SIerから1,200万円なら市場相場」といった計算や一般化はできない。読み取れるのは、異業種・異職種からの移動や、コンサル経験者の職位付きオファーが公開されているという事実までだ。
交渉に活かすなら、年齢とオファー年収を自分の希望額の根拠にするのではなく、自分が担える責任範囲を職位に結びつける。たとえば「同じ年齢の事例が1,400万円だった」ではなく、「複数案件でクライアント役員との合意形成とチーム管理を担い、今回のManager相当の責任範囲を再現できる」と示す。公開事例の数字を、個人のオファーを保証する相場として使わないことが重要だ。
KPMG FAS Strategy部門の公式求人は、Director、Senior Manager、Manager、Senior Associate、Associate、Junior Associateを募集職位として並べている。Strategy & Value Creation業務として、経営・事業戦略、M&AディールのBDD・事業計画、Value Creation戦略と実行支援を掲げ、A・B・Cのいずれかの経験に加え、関連する実務経験3年程度以上、4年制大学卒以上、TOEIC 800点以上相当の英語力、PowerPoint・Excelなどを求めている。
この求人ページに、職位ごとの給与レンジは掲載されていない。したがって、公開ページにない「Managerなら1,200万〜1,500万円」のような数字を作ってはいけない。ここから得られる実務上の示唆は、年収交渉の前に「どの職位として評価されているのか」「その職位の責任範囲は何か」を確認することだ。
たとえば、戦略立案とM&AのPre/In-Deal支援を数年経験し、買収後の企業価値向上で経営陣に提案し、チームをリードしてきた人がSenior Associate提示なら、依頼文は「年収を上げてください」から始めない。まず、担当する案件フェーズ、クライアントとの接点、チーム管理、成果責任を確認し、その範囲がManager相当なら職位の再検討を依頼する。職位が変われば、基本給、賞与ターゲット、タイトル、翌年の評価基準が一緒に変わる可能性があるからだ。
以下の3例は、現年収600万円、800万円、1,000万円の架空候補者である。実在企業や実在のオファーではない。数字は計算方法を示すためのものだ。株式は換金時期や権利確定に不確実性があるため、継続報酬へ含める場合は「提示額面」ではなく、付与条件と年間認識額を別に管理する。
#### 報酬の分解
| 項目 | 現職 | 転職先の提示条件 |
|---|---|---|
| 基本給 | 480万円 | 600万円 |
| 賞与・ターゲット賞与 | 60万円(直近実績) | 60万円(ターゲット、初年度は按分の可能性) |
| 残業代 | 60万円(直近実績) | 0万円(管理職扱い・提示額に含む前提) |
| 株式・サインオン | 0万円 | 入社一時金40万円(初年度のみ) |
| 継続報酬 | 600万円 | 660万円 |
| 初年度報酬 | 600万円 | 700万円(継続660+一時金40) |
計算式は、現職が `480+60+60=600万円`、転職先の継続報酬が `600+60+0=660万円`、初年度が `660+40=700万円` である。現職総報酬に対する増減率は、継続報酬で `(660−600)÷600=10.0%`、初年度で `(700−600)÷600=16.7%` となる。
この候補者の受諾ラインを「継続報酬640万円、初年度報酬680万円」、目標を「継続報酬680万円、初年度報酬720万円」、依頼額を「継続報酬700万円、または継続報酬680万円+一時金40万円」と置く。提示条件660万円は、初年度の一時金を含めれば魅力があるが、2年目以降は現職比10%に戻る。営業企画で複数部門の改革をリードし、Manager相当の責任を担うなら、基本給または職位を先に確認する。
#### 依頼文
ご内定と条件のご提示をありがとうございます。業務内容とチームの方向性に強く惹かれており、入社を前向きに検討しています。
>
条件について1点ご相談があります。現職の年間総報酬は、基本給480万円、賞与60万円、残業代60万円の合計600万円です。今回のご提示は、基本給600万円、ターゲット賞与60万円、入社一時金40万円と理解しており、初年度は700万円ですが、2年目以降の継続報酬は660万円と認識しています。
>
現職で営業・カスタマーサクセス・ITの3部門をまたぐ業務改革を主導してきた経験を踏まえ、今回のポジションで継続的に担う範囲を考えると、継続報酬680万円を目標としております。基本給または賞与ターゲットの見直しが難しい場合は、入社一時金を含む代替案も含めてご検討いただけますでしょうか。
#### 報酬の分解
| 項目 | 現職 | 転職先の提示条件 |
|---|---|---|
| 基本給 | 660万円 | 760万円 |
| 賞与・ターゲット賞与 | 90万円 | 100万円(ターゲット) |
| 残業代 | 50万円 | 40万円(別途支給の見込み) |
| 株式・サインオン | 0万円 | 入社一時金60万円(初年度のみ) |
| 継続報酬 | 800万円 | 900万円 |
| 初年度報酬 | 800万円 | 960万円 |
現職は `660+90+50=800万円`、転職先の継続報酬は `760+100+40=900万円`、初年度は `900+60=960万円` である。継続報酬の増減率は `(900−800)÷800=12.5%`、初年度は `(960−800)÷800=20.0%` となる。
受諾ラインを「継続報酬880万円、初年度920万円」、目標を「継続報酬930万円、初年度990万円」、依頼額を「継続報酬960万円、または継続報酬930万円+一時金60万円」と置く。依頼額960万円は現年収比20%だが、Robert Waltersの10〜20%という記載をそのまま根拠にするのではなく、クラウド移行の構想、複数ベンダー管理、経営層への報告、導入後の定着までを担う責任範囲を根拠にする。
ここで注意すべきは、現職の残業代50万円と転職先の残業代40万円が同じ意味かどうかだ。転職先の40万円が固定残業代なら、実際の稼働時間にかかわらず含まれる。一方、実績連動の別途支給なら、案件状況によって変動する。比較表の注記を外さず、提示書面で確認する。
#### 依頼文
オファーのご提示ありがとうございます。業務内容、特に全社DXの構想から導入・定着まで関われる点に魅力を感じています。
>
報酬について、現職は基本給660万円、賞与90万円、残業代50万円で、年間総報酬は800万円です。今回の条件は、基本給760万円、賞与ターゲット100万円、残業代40万円、入社一時金60万円で、継続報酬900万円、初年度報酬960万円と理解しています。
>
現職では、6部門の要件を統合し、3社のベンダーを管理する基幹システム刷新の業務側PMOを担当しました。今回想定される責任範囲との接続を踏まえ、継続報酬930万円を目標にご相談できれば幸いです。固定給の調整が難しい場合は、賞与ターゲットまたは入社一時金を含めた代替案、あわせて残業代の扱いをご提示いただけますでしょうか。
#### 報酬の分解
| 項目 | 現職 | 転職先の提示条件 |
|---|---|---|
| 基本給 | 780万円 | 900万円 |
| 賞与・インセンティブ | 140万円 | 120万円(ターゲット) |
| 残業代 | 60万円 | 0万円(管理職扱い) |
| 株式・サインオン | 20万円相当(年間認識額) | 株式80万円相当(年間認識額)+一時金50万円 |
| 継続報酬 | 1,000万円 | 1,100万円 |
| 初年度報酬 | 1,000万円 | 1,150万円 |
現職は `780+140+60+20=1,000万円`、転職先の継続報酬は `900+120+0+80=1,100万円`、初年度は `1,100+50=1,150万円` である。継続報酬は `(1,100−1,000)÷1,000=10.0%`、初年度は `(1,150−1,000)÷1,000=15.0%` の増加となる。
ただし、転職先の株式80万円相当が、毎年付与されるのか、4年ベスティングの1年目だけの評価額なのかで意味は変わる。提示書面に付与株数、株価の基準日、権利確定、退職時の扱いがなければ、継続報酬1,100万円を確定額と扱わない。株式の不確実性を考慮し、受諾ラインを「現金ベース1,060万円、株式は上振れ要素」、目標を「現金ベース1,100万円または基本給950万円」、依頼額を「現金ベース1,160万円、もしくはManagerではなくSenior Manager相当の職位」と設定する。
FASやValue Creationでは、年収だけでなく、どの案件のどのフェーズで、誰に対して成果責任を持つかが重要である。買収前のBDD、買収後のPMI、売上向上・コスト削減・キャッシュフロー改善のどこを担当するのかを確認し、マネジメント経験を職位の根拠にする。
会社ごとに制度は違うため、以下は交渉の候補を整理するための一般的な枠組みであり、どのファームにも当てはまる規則ではない。求人票、オファーレター、エージェントの説明を優先する。
| カテゴリ | 交渉候補になりやすい論点 | 交渉しにくい・確認に留める論点 |
|---|---|---|
| 戦略系 | 職位・タイトル、基本給、賞与ターゲット、入社一時金、入社日 | 全社の給与テーブル、同じ職位の一律レンジ、面接評価を後から変える要求 |
| 総合系 | 職位、基本給、賞与ターゲット、サインオン、入社日、タイトル、残業代の扱い | 固定残業や管理職区分の制度変更、入社後の配属保証、評価を経ずに昇格確約 |
| IT・トランスフォーメーション | 職位、基本給、賞与、入社一時金、入社日、タイトル、専門スキルに対応する等級 | 案件や稼働率の保証、未確定の株式価値、資格手当を年収へ確定加算する要求 |
| FAS・Value Creation | 案件フェーズに応じた職位、基本給、賞与ターゲット、一時金、入社日、タイトル | 成果連動報酬の上限保証、案件の利益分配を入社前に確定、パートナー相当の権限の先取り |
戦略系で未経験から入る場合、タイトルを上げる要求は、単なる経験年数では通りにくい。市場分析や中期戦略だけでなく、経営会議で選択肢を作り、意思決定を動かした経験があるか、チームを率いたか、クライアントまたは社内の経営層と直接対話したかを整理する。基本給やサインオンより先に、Associate、Consultant、Managerのどの責任範囲で評価されたかを確認する。
総合系は、戦略、業務改革、IT、PMO、実装・運用などの職種差が大きい。同じ「コンサルタント」でも、売上責任、案件獲得、チーム人数、顧客接点が異なる。提示年収が高くても、固定残業代込み、賞与ターゲット込み、管理職で残業代なしなら、現職との比較が変わる。依頼文には、金額だけでなく「想定職位と責任範囲を確認したい」と入れる。
クラウド、ERP、データ、AI、セキュリティなどの専門性がある場合、基本給の根拠を作りやすい。一方、技術名の羅列だけでは、コンサル側での責任範囲が判断できない。構想、要件定義、ベンダー選定、導入、チェンジマネジメント、定着のどこまで担ったかを記録し、職位と接続する。株式報酬がある転職先では、評価額、権利確定、退職時の扱いを別紙や規程で確認する。
FASは、財務DD、事業DD、M&A戦略、PMI、再生、Value Creationなどで報酬設計と評価軸が違う。案件数だけでなく、ディール規模、担当フェーズ、経営陣との距離、チーム管理、売上向上・コスト削減・キャッシュフロー改善などの成果を示す。求人が複数職位を掲載している場合、基本給交渉より「自分はどの職位の責任で採用されるのか」を先に確認したほうがよい。
応募時は、まだ職位も責任範囲も確定していない。希望額を断定せず、総報酬の定義と相談余地を残す。
現職の年間総報酬は約800万円(基本給660万円、賞与90万円、残業代50万円)です。今回のポジションでは、基幹システム刷新と全社DXの業務側リード経験を活かし、継続報酬900万〜960万円程度を目安に検討しております。職位、賞与ターゲット、残業代の扱いを含む総合的な条件を、選考を通じてご相談できれば幸いです。
「現年収+20%」だけではなく、希望する責任範囲と、提示額の構成を添える。採用側が求人の予算とレベルを確認しやすくなる。
面接中は、金額だけで会話を終わらせず、職位と報酬の定義を尋ねる。
現職の年間総報酬は、基本給・賞与・残業代を合わせて1,000万円です。転職では、今回のポジションで担う責任範囲と職位を重視しており、総報酬は現職を下限に、1,100万〜1,200万円程度を一つの目安として考えています。ただ、賞与ターゲットや株式報酬の扱いで比較が変わるため、職位と報酬構成を確認したうえで最終的に相談できればと思います。
「希望額はありますか」と聞かれても、受諾ラインをそのまま言わない。上の例の1,100万〜1,200万円は依頼・目標のレンジであり、1,060万円が内心の受諾ラインだと相手へ明かしていない。
内定前は、採用企業へ直接強く要求するより、エージェントに自分の優先順位と下限を正確に共有する。エージェントには、現職の報酬明細と、失う賞与・株式を伝えておく。
最終面接後の条件確認に向けて、希望条件を共有します。現職の総報酬は1,000万円ですが、そのうち賞与140万円と株式相当20万円が含まれています。今回の転職では、現金ベースで少なくとも1,060万円、目標は1,100万円、依頼額は1,160万円を想定しています。職位がManager相当であれば、基本給950万円以上または賞与・一時金を含めた初年度1,200万円前後を相談したいです。職位がSenior Associate相当の場合は、年収だけでなく、昇格基準とレビュー時期も確認してください。
数字を隠すと、エージェントが企業に低い希望額を伝えることがある。受諾ラインを共有する相手は選ぶが、交渉を任せるエージェントには正確に伝える。
提示額が出たら、交渉より先に確認をする。質問が多い場合は、採用担当またはエージェントへ表形式で返してもよい。
オファーのご提示ありがとうございます。前向きに検討するため、報酬の内訳を確認させてください。提示年収には、①基本給、②賞与ターゲットと上限、③初年度賞与の算定期間・按分、④固定残業代または管理職扱い、⑤株式報酬の付与・権利確定、⑥入社一時金と返還条件、のどこまでが含まれていますでしょうか。特に初年度賞与が満額支給でない場合は、初年度の実額見込みと2年目以降の継続報酬を分けて確認したいです。
最後の依頼は、金額、根拠、代替案、回答期限を簡潔に書く。複数条件を一度に要求しすぎると、何を優先しているか分からない。
オファー内容をご説明いただきありがとうございます。業務内容とチームには強く惹かれており、条件が整えば入社を決めたいと考えています。
>
現職の総報酬は800万円(基本給660万円、賞与90万円、残業代50万円)で、今回の提示は継続報酬900万円、入社一時金を含む初年度960万円と理解しています。現職で、複数ベンダーを含む全社システム刷新の業務側リードと、経営層への投資判断資料の作成を担ってきたこと、今回も構想から定着までの責任範囲を想定していることから、継続報酬930万円を希望します。
>
基本給での調整が難しい場合は、賞与ターゲット、入社一時金、または入社後6か月・1年時点の報酬レビューを含む代替案も相談できれば幸いです。○月○日までに条件を確認できれば、速やかに意思決定いたします。
受諾後に「やはり基本給を上げてほしい」と言うのは避ける。条件交渉は受諾前に終え、合意事項はメールやオファーレターで確認する。
年収交渉を扱う媒体には、共通して「内定後が交渉の適切なタイミング」「現年収の10〜20%増を一つの目安にする」「エージェントへ交渉を依頼する」という説明がある。転職エージェントLabの年収交渉記事も、内定後の交渉、現年収・市場相場・希望ラインの整理、固定給以外の賞与やインセンティブ確認を案内している。オリコン顧客満足度調査の交渉力ランキングは、3,432人の利用者によるエージェントの交渉力満足度を比較する情報で、個人のコンサル職位ごとの総報酬計算を示すものではない。Robert Waltersの2026 Salary Surveyは、日本の採用市場と給与のデータを提供するが、個別オファーの交渉額を保証する資料ではない。
つまり、これらを読んでも「いつ交渉するか」「現年収に何%を足すか」までは分かるが、現職の賞与が多い人、残業代が減る人、初年度賞与が按分される人、ManagerとSenior Associateの間で提示された人の結論までは出ない。そこで、交渉前に次の比較表を作る。
| 比較項目 | 現職 | 転職先 | 差額・確認事項 |
|---|---|---|---|
| 基本給 | 継続報酬の土台 | ||
| 賞与・インセンティブ | 実績かターゲットか、按分か | ||
| 残業代 | 別途か固定残業込みか | ||
| 株式・RSU | 付与額、権利確定、退職時扱い | ||
| サインオン・入社一時金 | 初年度のみか、返還条件はあるか | ||
| タイトル・職位 | 責任範囲、評価基準、昇格時期 | ||
| 入社日 | 現職賞与を失う場合の補填 |
比較する単位を揃えることで、「年収1,000万円から1,100万円だから10%アップ」という表面上の計算を、職位とキャッシュフローの判断へ変えられる。
交渉は、言えば必ず上がる制度ではない。次の状況では、金額交渉よりも応募・受諾そのものを再検討する。
「交渉しない」と「確認しない」は違う。交渉しにくい論点でも、提示条件の定義や書面の有無は確認する。条件が不透明なまま、年収の数字だけで決めない。
最後に、表の空欄を埋める。金額はすべて額面の年間金額で、賞与や株式は定義を添える。
```text現職総報酬:__万円基本給:__万円賞与・インセンティブ:__万円(実績/直近3年平均/ターゲット)残業代:__万円株式・その他:__万円(評価方法:__)
転職先の提示条件:職位・タイトル:__基本給:__万円賞与ターゲット:__万円、上限__万円残業代:__万円(別途/固定残業/管理職)株式・一時金:__万円、権利確定・返還条件:__継続報酬:__万円初年度報酬:__万円
受諾ライン:継続報酬__万円、初年度__万円、必須条件__目標:継続報酬__万円、初年度__万円、職位__依頼額:継続報酬__万円、または代替条件__根拠:職位の責任範囲__、現職の再現可能な実績__、失う報酬__```
依頼額は、現年収から機械的に出すのではなく、職位と責任範囲、転職で失う報酬、転職先の報酬の確実性を合わせて決める。Robert Waltersの10〜20%は参考線であり、typeの公開事例は上昇率を計算できない個別例である。市場データと個別の根拠を混同しないことが、無理のない交渉につながる。
過去の総報酬比較記事が「どの転職パターンで年収が動くか」を見るためのものだとすれば、ここで必要なのは、自分のオファーを内訳・職位・初年度キャッシュフローに分けて決める作業である。個別の求人では、求人票とオファーレターの記載が最優先される。会社ごとの給与テーブルや賞与制度を、他社の事例だけで推測しない。
年収交渉は、希望額を大きく言うことではない。現職で何を失い、転職先でどの職位と責任を担い、基本給・賞与・一時金のどこを動かすのが合理的かを整理することだ。SymmetryLabは全員が大手外資コンサル出身で、丁寧なケース面接対策と高い内定率を強みに、応募先の選び方からオファー条件の確認まで支援している。
「提示年収を受けるべきか分からない」「Manager相当なのか、年収だけを上げるべきなのか判断できない」という場合は、コンサル転職ならSymmetryLabへご相談ください。現職の総報酬、提示条件、職位、入社後の責任範囲を分けて、受諾ライン・目標・依頼文まで一緒に整理できます。