
PwCの採用情報を見ていると、「学士6,390,840円」と「標準年収724万円」という数字が目に入ります。単純に比べると、後者のほうが約85万円高い計算です。
ただし、この2つは同じ条件の年収ではありません。一方はPwCコンサルティングの新卒採用募集要項に記載された標準年収で、業績賞与を含まない金額。もう一方は、PwCアドバイザリーが公認会計士試験合格者向けに示している標準年収で、標準業績賞与を含んでいます。
転職先を選ぶ際は、見出しの金額だけでなく、どの法人の、どの職種を、どの資格要件で募集しているのかまで確認する必要があります。
PwCコンサルティングの新卒採用募集要項では、戦略、ビジネス、デジタル、ITソリューションなどのコンサルタント職について、学士の標準年収を6,390,840円と記載しています。
内訳は月額532,570円です。基本給420,010円に、月30時間分のみなし時間外勤務手当112,560円が含まれています。30時間を超える時間外労働分は別途支給されます。
ここで重要なのは、この6,390,840円が「業績賞与を含まない金額」と明記されている点です。会社業績や個人の貢献度などを踏まえて業績賞与が支給される場合はありますが、募集要項の標準年収には含まれていません。
つまり、6,390,840円は固定給に近い条件を確認するための数字であり、実際の年間受取額をそのまま示す数字ではありません。
一方、PwCアドバイザリーの公認会計士試験合格者向け採用案内では、標準年収額を724万円としています。この金額には標準業績賞与額が含まれます。
募集対象は、公認会計士試験の論文式試験全科目合格者です。業務内容はM&Aに関するアドバイザリーサービスで、月例給与は525,010円以上。30時間を超える残業代は別途支給され、業績賞与は業績や貢献度に応じて年1回支給されると説明されています。
この採用では、会計士登録のサポート、海外出向制度、組織内ローテーション、異動希望を支援する制度なども案内されています。PwCコンサルティングの一般的な新卒コンサルタント職とは、入口の資格要件も担当領域も異なります。
639万840円と724万円を表面上比較すると、差額は約84万9,000円です。割合にすると、724万円のほうが約13%高く見えます。
しかし、比較の前提が揃っていません。
PwCコンサルティングの数字は業績賞与を含まない標準年収です。PwCアドバイザリーの数字は標準業績賞与を含んでいます。さらに、前者は学士の新卒採用、後者は公認会計士試験合格者を対象にしたM&Aアドバイザリー職です。
したがって、「PwCアドバイザリーのほうが誰でも85万円高い」と読むのは適切ではありません。資格、担当業務、賞与の算定方法、入社後の職位が違うためです。
PwCに限らず、採用情報の年収を比較するときは、次の順番で確認すると判断を誤りにくくなります。
まず、標準年収に何が含まれているかです。固定給だけなのか、みなし残業代を含むのか、業績賞与まで含むのかで、見た目の金額は大きく変わります。
次に、応募資格と職種です。公認会計士資格や試験合格が条件になっている採用は、一般的なコンサルタント職と同じ土俵で比較できません。資格を活かしてM&Aや財務領域の専門性を深めたいのか、業界横断で経営課題に関わりたいのかを整理する必要があります。
三つ目は、2年目以降の報酬の上がり方です。初年度の標準年収が高くても、賞与の変動幅が大きい場合があります。反対に、初年度は控えめでも、昇格後に担当できる案件や職位が広がるケースもあります。
最後に、転職後の選択肢です。M&A、財務、会計、事業再生などの専門性を積み上げたい人と、戦略・業務・デジタルを横断してキャリアを作りたい人では、同じPwCグループでも適した入口が変わります。
オファーを受けたら、「標準年収はいくらか」だけでなく、「賞与を除いた固定部分はいくらか」「想定される職位は何か」「どの領域に配属される可能性が高いか」「3年後にどのような役割を目指せるか」まで確認しておきたいところです。
画像: Pexels「Businessman Working with Documents and Using Laptop in an Office」 / RDNE Stock project / Pexels License(無料利用条件を確認済み)
SymmetryLabは、全員が大手外資コンサルティングファーム出身です。丁寧なケース面接対策と高い内定率を強みに、経験や資格、志望するファームに合わせて転職の進め方を整理しています。PwCを含め、コンサル転職で応募先や年収条件に迷っている方は、コンサル転職ならSymmetryLabへご相談ください。