
戦略コンサルは、何時から何時まで働くのか。1案件は何週間続き、年間では何案件ほど担当するのか。
公開されている実例を見ると、8時30分から9時ごろに始業し、インタビューと資料作成を終えて19時に仕事を終えた日があります。一方、中途入社後の初案件で、翌日16時締切の市場規模調査を任され、23時30分まで作業した例もあります。
案件期間については、外資系戦略ファームのヘルスケア案件で2〜3か月が多いとの公開情報があります。この長さの案件を間を空けずに担当すれば、単純計算で年間4〜6案件です。案件が変わるたびにチームも組み直されるなら、上司や同僚が年に4〜6回変わる可能性もあります。
ただし、19時終了も23時30分退社も、特定の人物・特定の日の公開例です。戦略コンサル全体の平均勤務時間ではありません。2〜3か月という期間もヘルスケア領域の情報で、全案件に当てはまるわけではありません。本稿では、公開された事実、編集部が組んだ8週間案件のモデル、公開情報からの単純計算を分けて記載します。
まず、公開されている二つの一日を並べます。
一つ目は、PwC Strategy&の「コンサルタントの1日」で紹介されている例です。本人は8時30分から9時ごろに仕事を始め、9時にチーム会議へ参加。14時から17時までに3本のインタビューへ同席し、17時からメモを整理して資料に落とし込み、19時に仕事を終えています。
同じ記事には、早い日は18時ごろに終える一方、プロジェクトの状況によって遅くなる日もあり、海外との時差によって深夜や早朝にインタビューが入る場合もあると記されています。つまり「Strategy&は毎日19時に終わる」のではなく、公開された当日が19時終了だったということです。
二つ目は、キャリアインキュベーションが公開している中途入社1年目の事例です。朝9時に出社した本人が、10時30分に案件説明を受け、翌日16時までに複数市場の規模を調査する仕事を任されます。
17時の中間レビューでは、見つけた数字が今回の分析には使えないことや、必要なデータが欠けていることが判明しました。作業を続けるなかで再び不明点が出て、21時に先輩と電話で方向を確認。最終的に23時30分に退社しています。これは古い公開例で、現在の特定ファームの平均勤務時間ではありません。ただ、短納期の作業では「朝に指示を受け、夕方のレビューで前提が変わり、夜に分析を組み直す」ことが起こり得ると分かります。
この2例に限れば、19時終了例では当日のインタビュー後に整理と資料化を終え、23時30分退社例では翌日締切と夕方以降の手戻りが重なっていました。勤務時間の差を2件だけで一般化はできませんが、締切までの残り時間とレビュー後の修正量が、一日の長さにどう表れるかは具体的に確認できます。
以下は複数の公開例を基に、SymmetryLab編集部が作成した「8週間の戦略案件」のモデルです。特定ファームの公式工程ではありません。
初週は、クライアントが何を決めるための案件なのかを確認し、8週間で答える論点を分けます。スタッフは既存資料を読み、リサーチ項目、インタビュー候補、分析に必要なデータを洗い出します。マネージャーはスタッフの作業を組み合わせ、いつまでに何を判断できる状態にするかを週単位で設計します。
案件初日の公開例にある「翌日16時までに市場規模を出す」といった短納期の依頼も、この段階で発生し得ます。初週は業界用語やクライアントの事情を十分に理解できていないため、夕方のレビューで前提の取り違えが見つかり、作業が戻ることがあります。
中盤前半では、顧客・専門家へのインタビュー、市場調査、競合分析、社内データの分析などを進めます。Strategy&の公開例では、午前中を準備に充て、午後だけで3本のインタビューを実施しています。1時間の面談を3本して終わりではなく、事前の質問設計と、終了後の発言整理、仮説の修正が続きます。
スタッフの予定表は、インタビューで埋まる日もあれば、一日をExcelでの分析や資料作成に使う日もあります。調査結果がそろうにつれて、チーム内の議論は「情報が足りない」から「どの選択肢を残すか」へ変わります。
市場参入案件なら、市場が伸びているという事実だけでは結論になりません。参入する地域、顧客層、商品、販売方法、必要投資、想定リスクまで一貫した案にします。
この時期は資料のページ数が増える一方、最終資料に入らない分析も増えます。数日かけた分析が落ちることもあります。マネージャーやパートナーから追加の根拠を求められ、調査や計算を作り直せば、終業時刻は後ろへずれます。
終盤は、最終報告で使う資料の構成、数字、表現をそろえます。クライアントとの事前打ち合わせで異論が出れば、その論点を再分析します。経営陣向けの報告では、限られた時間で結論と根拠を説明できる状態まで準備します。
最終週だけが忙しいとは限りません。重要な中間報告の前日や、調査結果が想定と大きく異なった日にも作業は増えます。納品後に実行支援を担う場合は、8週間で終了せず、体制を変えて案件が続くこともあります。
ムービンが紹介する外資系戦略ファームのヘルスケア案件では、プロジェクト期間は2〜3か月が多く、戦略策定に加えて実行支援まで行う場合はさらに延びるとされています。チームは3〜5名程度が多いとの説明もあります。
これはヘルスケア領域に限った情報です。その前提で年間の案件数を単純計算すると、2か月案件を12か月連続で担当すれば6案件、3か月案件なら4案件、8週間案件なら約6.5案件です。待機期間、研修、休暇、社内業務、提案活動は含めていないため、実際の完了件数を示す数字ではありません。
プロジェクト体制に関する解説では、若手が1か月単位で異なるテーマや業界の案件へ入る場合も紹介されています。一方、策定した戦略の実行まで支援する案件では、同じ顧客と半年以上仕事をする可能性があります。
生活への影響で見るなら、案件数より「どの頻度でチームと仕事内容が変わるか」が直接的です。2〜3か月案件を連続して担当するモデルでは、年に4〜6回、新しい上司、顧客、業界、資料形式へ適応することになります。
作業量が増えやすい場面は少なくとも三つあります。
一つ目は、翌日締切の調査や分析を受けたときです。中途1年目の公開例では、案件初日に翌日16時締切の市場規模調査を任され、夕方のレビュー後に分析を修正しています。
二つ目は、インタビューを集中して実施する時期です。Strategy&の例では午前中に準備し、午後に3本を実施、その後17時からメモを整理して資料化しています。面談の時間が増えれば、その前後の準備と整理も増えます。
三つ目は、案件の納品と次案件の提案が重なる時期です。繁忙期に関する解説では、期をまたぐ時期、とくに3月は既存案件の納品と翌年度に向けた提案が重なりやすいとされています。スタッフが担当案件の分析に追われる一方、マネージャー以上は進行中案件を終わらせながら次案件の提案も作ることがあります。
一般的な少人数チームについて、キャリアインキュベーションは「パートナー1名、マネージャー1名、スタッフ2〜3名」という構成を紹介しています。大型変革やシステム導入では数十名規模になるため、以下は少人数の戦略案件を想定した整理です。
スタッフは、リサーチ、データ分析、インタビューの準備・同席、議事録、資料作成に多くの時間を使います。午前中に依頼を受け、夕方にレビューし、指摘を踏まえて夜に修正する流れが起こります。予定どおり分析できれば早く終わり、データや前提に問題が見つかれば延びます。
マネージャーは作業を割り振り、途中成果をレビューし、個々の分析を一つの結論へまとめます。ヘルスケア領域の公開例では、朝の全体会議、若手との作業確認、午後の顧客インタビューを経て、17時からスタッフの進捗確認と資料へのフィードバック、19時から翌日の議論用資料を作り、22時に帰宅しています。スタッフの成果物が夕方に上がると、その確認と修正は後になります。
パートナーは重要な顧客会議やチームレビュー、新規提案を担い、複数案件へ時間が分かれます。今回参照した資料だけでは平均稼働時間を出せませんが、スタッフが一つの分析にまとまった時間を使うのに対し、上位職ほど会議、レビュー、顧客対応、提案に時間が分散します。
「忙しい時期もあります」では生活設計に使えません。次の数字に、自分の上限を入れてください。
小さな子どもがいる、介護がある、平日に資格の授業へ通う事情があれば、23時台の勤務は月1回でも難しいかもしれません。反対に、締切前の数日が遅くても、案件終了後に休みを取りやすいほうがよい人もいます。
2〜3か月ごとに新しい上司のレビュー方法を覚え直す環境を面白いと感じる人もいれば、半年以上同じメンバーで働きたい人もいます。これは抽象的な適性の話ではなく、年4〜6回の環境変更を日常として受け入れられるかという問題です。
短納期への耐性も同じです。朝に初めて説明されたテーマを夕方までに調べ、レビュー後に前提を修正し、その日のうちに再計算する。先ほどの公開例を自分が担当すると仮定し、23時30分まで集中を保てるか、その翌朝9時から再びレビューに参加できるかを考えるほうが具体的です。
確認できたのは、Strategy&に8時30分から9時ごろに始業し、午後に3本のインタビュー、17時からメモ整理と資料作成を行い、19時に終業した日があることです。別の中途入社1年目の例では、案件初日に翌日締切の市場規模調査を任され、17時と21時に方向を確認しながら23時30分まで作業しています。
ヘルスケア領域の外資系戦略案件では、2〜3か月の案件、3〜5名程度のチームが多いという情報があります。若手が1か月単位で異なるテーマへ入る例や、実行支援によって期間が延びる例もあります。3月には納品と翌年度提案が重なりやすいとの解説もあります。
ここから編集部が計算したのが「2〜3か月案件を間を空けずに続ければ年間4〜6案件」です。実績平均ではありません。8週間の進行表も特定ファームの公式工程ではなく、働き方を具体化するための編集部モデルです。
今回の資料だけでは、戦略コンサル全体の平均始業時刻、平均終業時刻、23時を超える勤務の月間回数、年間の平均案件数までは分かりません。それでも、19時に終わる日と23時30分まで作業する日が生じる条件、2〜3か月案件で年4〜6回チームが変わり得る生活は想像できます。転職前に考えるべきなのは、その幅を自分の平日に置いたとき、続けられるかどうかです。
画像:Two businessmen discussing strategies in a modern office meeting room、作者:Felicity Tai、Pexels License/無料利用可/確認日:2026年8月23日
SymmetryLabのメンバーは全員、大手外資系コンサルティングファームの出身です。各ファームの働き方を踏まえた転職相談に加え、丁寧なケース面接対策と高い内定率を強みとしています。現在の生活と戦略コンサルの働き方を両立できるか、どの職位で応募すべきか迷っている方は、SymmetryLabへご相談ください。